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2005/10/29

        9.古い記憶              2005.10.29

自分が覚えている一番古い記憶はなんだろうか。
ふと考えて一所懸命に思い出した、古そうな記憶は三つあった。

一つ目は保育所でタオルケットに包まれて眠ろうとするところ。
きっとバスタオル程度の大きさなのだろうが、私には大きな布団と同じように思えた。

二つ目は駄菓子屋だった祖父の家の店先で、私の腰の高さ辺りに木の箱に入って並べられた駄菓子を見ているところ。

でも、一つ目は幼稚園のことかもしれない。
幼稚園も保育所もすぐ隣にあって、当時は幼稚園でも昼寝の時間があったので、ハッキリと区別がつかない記憶だ。
二つ目は確かに記憶があるのだが、以前、親に聞いたところによると、私が3歳になったころには、とっくに店をたたんでしまっていたらしい。
そんなに古い記憶が残っているのも怪しく、後に刷り込まれた記憶とわれれば、そんな気がしないでもない。

そして三つ目の記憶は、間違いなく私の記憶であり、かなり古い。
それは父の背中で寝ている記憶。

父が近所の誰かと話をしているから日曜日のことだろう。
父に背負われているときは、背中から伝わって声が聞こえてくる。
その声は普段聞いている声ではなく、もっと低く響くようなこもったような声で、父の背中に耳を当てて寝るのが好きだった。

幼稚園に通う次女を背負ってみた。
私の顔よりも高い位置に次女の顔が来る。
私の父は小柄で、今の私より20センチは背が低かった。
その父親の背中に耳を当てて寝ていたのだから、私が幼稚園に入るより前の記憶に違いないのだ。

遠い昔のある日曜の昼下がり、私を背負い、父は近所の人と何かを話していた。
背中越しに楽しそうな笑い声が聞こえていた。


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