つるつるいっぱいのサイト

 

2005/05/05

        1.つるつるいっぱい

 

お坊さんの集会ではない。

福井県周辺の方言で「コップの水が今にもあふれそうだけれども、表面張力でなんとか踏みとどまっているさま」をあらわしている。
標準語にすると「ぎりぎりいっぱいまで」といった感じなのだろうが、「つるつる」という語感が「鏡のようにピーーンと張り詰めた水面」を感じさせる。
だから、単に「ぎりぎり」と言ってしまうより、「あ、もう、あかんて!それ以上は無理無理!!」という緊張感のある状態、と考えたほうがよさそうだ。

これがただの方言として存在しているのなら、私もわざわざ取り上げたりしない。
取り上げたのには理由がある。
それは福井県出身の友人がこれを標準語だと思っていた、ということだ。
さらにその友人によると、福井県民はみな、同じようにこれを標準語だと思っているというのだ。
福井県のテレビリポーターは「昨夜からの雨で川の水面はもう、つるつるいっぱいのところまで来ています」と中継するのか?!

まさかと思いつつ、Webで検索してみると、なんということだ。
同じように「標準語だと思っていた」と書かれているサイトが結構あるじゃないか。
そして「これは標準語だと思っていました」ときっぱり勘違いを認めた人もいれば、福井弁解説 と称してこの言葉の意味を解説した後、「これって方言じゃなくて標準語だったかも・・」と、いまだに勘違いしつづけている人もいて、さらには「つるつるいっぱいを標準語に昇格させたい」と勘違いを通り越してしまっている人までいる。
恐るべし福井県民。

ところで、福井県では「ガソリン満タン!」のことを「ガソリン、つるつるいっぱい!」というらしいが、そんなことで本当にガソリンを入れてもらえるのか?
何かガソリン以外に別のものが入っていやしないかと心配でならないのは私だけだろうか?
しかしこれが「焼酎のお湯割り」だと趣がある。
「焼酎お湯割、つるつるいっぱい」といわれると、なんだか焼酎とお湯以外に「温かみ」が入っていそうに感じたりもするから不思議なものだ。


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