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2005/06/12

        6.ふんだりけったり


重ねてひどい仕打ちを受けるさま。

「急に残業を言いつけられるし、家に帰ると夕食は用意してないし、ほんま、踏んだり蹴ったり」というように、自分がなにか仕打ちを受けた時に使う。
「泣きっ面に蜂」も近いが、前者が「仕打ち」など人的要因が強い場合に用いられ、後者は「災害」など自然的要因が強い場合に用いられると思う。

確かに足で踏まれるのは相当痛い。
女性のピンヒールなどで足の指の付け根を踏まれたりしたら、格好つけて「大丈夫ですよ」なんて涼しい顔はしていられない。すぐさま靴を脱いで、足の甲に穴が開いていないか、そこまで行かなくとも、どれほどひどい状況になっているかを確認しなければ気がすまないほどに痛い。それでも案外、ひどくなっていないのは、足のつま先は他の体の部位より痛点が多いので余計に痛みを感じるためらしい。

蹴られるのもしかり。
回し蹴りのような大技でなくても、むこうずねを蹴られると、腰から力が抜けて「はふはふ」となるような感じさえある。まさに、「弁慶の泣き所」であり、大の大人でもしゃがみこむか、飛び上がるか、アメリカンアニメのような大袈裟なリアクションをとることになる。

それを両方も食らうのだ。
踏まれて蹴られて・・・。

おや?
おかしくないか?
「踏んだり蹴ったり」

道端に落ちている「うんこ」を踏んだり蹴ったりしたのならともかく、相手の足を踏んだり蹴ったりしても、こちらは痛くも痒くもないんじゃないか?
ひどい仕打ちを受けるのは「踏まれ」たり、「蹴られ」たりした場合であって、「踏んだ」り、「蹴った」りしても、なんともないじゃないか。
ということは、重ねてひどい仕打ちを受ける様を正確に表すならば「踏まれたり蹴られたり」じゃないのか?

「踏まれたり蹴られたり」

うーん。もう、格段にひどい目に合わされている感が強まるはず、だったのに、なんだか間抜けで、同情する気分も失せてしまうのはどういうことだろう。

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