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2006/01/01

        8.いわす


「金に物をいわす」となれば、金銭で買収することにより、通常なら得ることのできない権力を得て、それを行使することを意味しているが、大阪では変わったものを「いわす」ことがある。

まず一つ目は「ぶいぶいいわす」。
これは「幅を利かせる」というような意味である。
「若いころはそこらへんでぶいぶいいわしてた」などと使う。

「幅を利かせていた」という意味とその音感から「ぶいぶい」はその本人から発せられる何らかの音が言葉になった擬声語ではないかと思われる。 

しかし、「バイクのアクセルを吹かしたときの音が『ぶいぶい』である」といわれると、「暴走族が単車をぶいぶいいわせて我が物顔で走り回る」などは納得できなくも無いが、人間の体で「ぶいぶい」いいそうなところは屁ぐらいしか見当たらない。
それに、そんなもの連発されても怖くは無いし、威圧感を生み出すこともない。
ま、違った意味で、人が近寄らなくはなるだろうが。

しかし、「ぶいぶいいわす」というのが「ぶいぶい言わせる」ということであるとするならば、「ぶいぶい」と音が出るのはもしかしたら、本人ではなく周りの人の方かもしれない。
そう考えると納得できる。
もう、その人が登場するや否や、周りの人は恐怖におののき、おしっこちびって、うんこもちびって、おならもぶいぶい・・・なわけないな。

二つ目は「肩をいわす」。
肩でなくて「腰」や「膝」でもいい。
これは「痛める」あるいは「傷める」とうような意味で、「重いものを持って腰をいわす」などと使う。
日常会話の中で普通に使っていたが、関東の人間が初めてこれを聞いたとき大爆笑していた。
まあ、確かにおかしな言葉だと思うが、語源はなんだろうか。
まさか関節を痛めるときに「ゴキッ」とか「バキッ」とか音を出した様を言っているわけではないだろう。

「痛める」や「傷める」の転用かとも思っていたが、「違和す」かもしれない。
「違和感がある」の「違和」には調和が乱れるという意味がある。
体の調和が乱れること、それがすなわち「違和す」なのだとしたら、「痛める」などの転用と考えるよりももっと品がよくて字面もいい。

しかし、品がよいといわれるのは、関西人である私にはくすぐったくて落ち着かない。
多少無理があっても、「ゴキッ」「バキッ」と「言わす」が語源である、という方が関西人らしくて私は好きだ。


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