カリント日記

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2014年2月4日(火) 鈍感な日記

この時期の土日は比較的ゆっくりできるので日記を書く時間はいくらでもあるはずなのだが、なぜだか休日に日記を書く気がしない。
日記というものは、書かなければという気持ちになって書くものではなく、書きたいという気持ちで書くものだというように考え方を変えたところ、なぜだか休日には書かなくなってしまった。

というよりも、平日の昼間にこそ書きたいことが思いつく、といったほうが正しいかもしれない。
それは仕事がひと段落ついた時間であったり、気分転換にコーヒーを買いに行ったときであったり。
いずれにせよ、書こうと思った時ではなく、ふと何かが頭に思い浮かんだ時に書いているからだ。

昔はそれほどに思いつくことが多かったのか。
おそらくひねり出して無理やり書いていたのだろう。

と、思って読み返してみた。

確かに無理やりひねり出した不自然な感じのものもあるが、圧倒的に自然なものが多い。
その時の感情、心に残ったこと、言いたいこと、そういった内容が書かれていた。

たぶん、もっといろいろなことに敏感だったのではないか。
敏感にいろいろ感じ取って、自分の言葉に変えてそれを表現する力が、今よりもずっと強かったに違いない。

それが今では周りのことに鈍感になり、とげとげしさもなくなり、そして老いも手伝って、さらには疲れて日記を書かくなくなったような気がする。

でも、やめるつもりはない。
年相応の内容と量でこれからも書き続けていきたい。

2014年2月9日(日) 大きな成果

先日、以前知り合いになった、ある市のPTA協議会の会長さんが、私の顔を見て嬉しそうに報告をしてくれた。

「○○(私)さんのおかげで、私たちの市でも協議会を開催することができたんです!」という。

今年度知り合いになった女性の会長さんだが、最初にお会いしたときにお互いの市のPTA協議会について話をした。
私の市では毎月のように単位の会長同士が顔を合わせて会議をしているのに、彼女の市では一年のうちに一度も会議が開催されないらしい。

どうやって会長同士の意見交換をするのかと聞くと、「そんな機会はない」という。
私も驚いたが、相手も驚いた。

「○○さんの市の協議会は、まさに私の理想」とまでいう彼女は、それからことあるごとに「どうすれば協議会の会議を開くことができるか」「どんなふうに案内を出せばいいか」などなどいくつかの相談を私に持ちかけ、私はそれに対して自分なりのアドバイスをしていた。

そしてついに先日、初めての協議会を開催することができたらしいのだ。
また、私が本年度取り組んできた「自分たちの単位で困っていることや成果についてグループ討議する」ということを、その協議会の中でも実践したらしい。
すると、活発な意見交換が行われ、「もっと早く会議をしてほしかった!」という声まで出てきたという。
もちろん、その後の飲み会も大盛況だったという。

来年度以降も同じような会議をする予定だそうで、回数ももっと増やしたいと思っているらしいが、今までの流れを変えることはなかなか難しい。
でも、この人なら、「一緒にやろう」と手を挙げてくれる仲間が集まるに違いない、と思った。

2014年2月11日(火) 見えないところを見る

自治会の定例会の後、会長が数名の役員と私に「ちょっと残って」と声をかけた。
私は声をかけられたメンバーを見て「ああ。私は副会長だった」と思い出すほどにまだ「自治会の副会長」という自覚が弱い。

会長が「そろそろ班長さんたちに手当を支給する時期なんやけど」と切り出した。

自治会の役員をはじめ班長さんや地区長さんたちには、ほんのわずかな金額だけれども、年度末に手当が支給される。
その手当を資格の有無を確認したいというのだ。

ほとんどの人に対しては問題なく支給するが、支給するにふさわしくないと思われる人が数名いる、と会長がいう。
そのうちの一人がPTAの副地区長さんの名前だったので驚いた。

副地区長さんは、土日は仕事の関係で忙しい地区長に代わり、子ども会の行事でもPTAの行事でも率先して動いている。
とても働き者にも関わらず、会長からこんな言葉が出てきたのだ。

理由は簡単。
「○○(副地区長)さんは、自治会の会議にちっとも出てこない」からだそうだ。

なんのことはない。
会長の目の届くところで活動していないから、「仕事をしていない」と思われているのだ。

私が誤解であることを説明すると全役員が納得してくれたが、こんな見られ方をしているのかと思うと、がっかりした。
しかし同時に、私がそのように人を見ていることはないだろうかと、心配になりもした。

私にも、見えないところを見抜く力がもっと必要だと思った。

2014年2月19日(水) 寒空の決意

先日、夕食も終えて一息していたころ、同じ町内に住むお父さんが私を訪ねてきた。
寒い中、ダウンジャケットを着こんで。
4月から小学校のPTA会長を引き受けることになったらしく、相談にいらっしゃったのだ。

子ども会の活動などでもよくお手伝いいただいている方でPTA会長にもふさわしい人だと思っている。
ただ、夜にお仕事があるので、夜に開催されるいくつかの会議には出られない可能性が高い。
そんな不安もあって相談にお見えになった。

「会議ってどれぐらいあるんですか?夜にもあるんですよね?」

そう聞かれて答えた。

毎月第一週に開催される会長会のこと、小学校の役員会や実行委員会のこと。
会長会は市内全小中学校の会長さんに影響することなので、よほどの理由がない限り日程は固定であること。
その代り小学校の役員会や実行委員会は会長の都合が優先されるということ。
他にも今年の記念行事などについていくつか話をした。

あまり最初からプレッシャーをかけるのはよくないかもしれないが、黙っていて後になって揉めるよりも、わかっていることは話しておいたほうがいい。

入学式の挨拶やその他いろいろと話をし終えると腕を組みながらうつむき加減にお父さんがつぶやいた。

「うーん。そうですか・・・」

しばらくそのままだったが、やがて顔を上げていってくれた。

「ま、うまいことできるかどうかわかりませんけど、頑張ってみますわ!」

そういうお父さんの顔は不安げな表情ではなく、吹っ切れたような明るい顔に見えた。

「また、わからんことあったら聞きます!」

そう言い残して、新会長は寒空の中、自転車をこいで家路に向かった。

私はそのお父さんが、新会長を引き受けてくれたことが妙にうれしくて、いつもより少し多めのお酒を飲んだ。

2014年2月20日(木) 人間ドックの結果

人間ドックの診察結果が送られてきた。
早速嫁さんと一緒に中身を見る。

ひとまず「急を要する」項目はなかったが、「脂肪肝」という診断がなされてしまった。
でも、お酒に関する項目を見ると「禁酒」に○はついておらず、「量を減らす」に○がついていた。
まあ、予測はしていたけれども、休肝日を設けたほうがよさそうだ。

そして別の用紙に「18歳未満と同じです」と大きな文字で書かれていた。
肺に関する診断書だ。
「あなたの肺機能は18歳未満と同様であり非常に優れています」とある。
今回の数値は覚えていないが、数年前に計測したときの肺活量は5,000cc以上で、当時の検査担当者が「おお」と声を出して驚いていたのを覚えている。
だから、以前から肺機能はよく、それが衰えていなかった証しだろう。
それなのに「肺気腫の疑いあり」ともある。
私の肺は健康なのか不健康なのかどっちなんだ。

他にも「胃にポリープあり」とか「内臓脂肪量が多い」など、いくつか10年ぐらい前の人間ドックでは見られなかった所見が書かれていた。
まあ、50歳手前ともなれば仕方がないか。

精神的に無理をしない程度に、身体的に無理をさせないようにしようと思う。

2014年2月21日(金) 冬季なのに

冬季オリンピックもいよいよ終盤だ。

といっても私は冬季オリンピックにはさほど興味がない。
「オリンピックに興味がない」という発言をすると印象が悪くなるらしいので、芸能人はこのネタを振られた時のためにコメントを用意しているとも聞いた。

冬季オリンピックがあまり評価できない理由の一つは、世界中のスポーツマンが集う祭典であるはずなのに、実際には雪の降らない国や地域の人にとっては参加することさえ難しい。
それにどの競技も練習するためにはかなりのお金が必要だと聞く。

雪の降らない地域に生まれた子どもは、いかに身体能力に優れていようとも、雪に触れることすらない。
金銭的に余裕のない家庭に生まれた子どもは、天賦の才を持ちながらも、練習する機会さえ与えられない。
そんな気候的な条件のそろった場所で、かつ金銭的にも困窮していない家庭で育った、いわば一部の恵まれた人だけに機会が与えられる状況で育った人を対象にした行事を、オリンピックと名付けたことに私は抵抗を感じる。

だから雪の降る地域で比較的裕福な人の多いこの国の選手は、冬季オリンピックの舞台での活躍が、夏季のそれよりもはるかに大きく期待される。
「メダル争いが期待されます」などとメディアがいう。
「応援してます」と町のにわかファンが笑顔で手を振る。

そしてその期待の大きさゆえに本来の力を発揮できず、メダルに手が届かないまま終わる選手がいる。

さらにメダルに手が届かなくても、サッカーで負けた時のように「得点力不足」「○○大失態」などとたたくこともせず、「入賞」などと当たり障りのない言葉で世間に反感を買わないように報道する。
コメンテーターも街頭インタビューでも、自分が「期待している」といっただけに、「残念でしたね」というやわらかい言葉で話をする。

冬季なのに寒風とは無縁の「温室」で育てたがっているように思えてならない。

2014年2月28日(金) 合格発表の光景

昨日は、午後から時間もできたので高校へ行こうと思った。
府立高校の合格発表の日である。

毎年、高校の合格者向けの説明会で挨拶をしているが、合格に喜んでいる生徒や保護者を見たことがないため、どことなく「事務的な挨拶」になっているように感じており、一度はそんな生の顔を見ておきたいと考えていたからだ。
無論、私の挨拶を聞いている周りの人はそうは感じていないだろうが。

小雨振る中、傘を差しながら高校へと向かう。
中学校の生徒らしい子どもたちが数人で歩いてくる姿を何度も見かける。
また、大きな茶封筒を嬉しそうに抱え、同じように嬉しそうな顔をした母親と一緒に「何食べる?」などと相談しながら歩いてくる子どもを見て思わず顔がほころぶ。

しかし、そればかりではなかった。

泣きはらした顔でしょんぼりとしながら雨の中をとぼとぼ歩き、「しゃあないやん」と母親に慰められながら歩いている子どももいた。
また、「なんて電話しよう・・」と携帯電話を片手に涙声で、友達に慰められながら雨の中、立ちすくんでいる子どももいた。

私は合格者説明会にしろ、入学式にしろ、合格した喜びいっぱいの子どもしか見ていなかった。
当たり前のことだが、その子どもたちの周りには、思いを叶えられなかった子どももたくさんいるのだ。
そのことを改めて実感した。

合格した子どもたちには、もしかしたら自分たちよりも強い思いでその学校に入りたいと願いながら叶わなかった人たちがいるかもしれない、ということを認識してもらい、その学校の生徒として、誇りと自覚を持ち、有意義な3年間を過ごしてほしいと思った。



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